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2018.04.06

【Japan Forward】(シリーズ3)

3部構成のラストになります。

寄稿文を英語で発信してくださっています。
提出した日本語は以下のとおりです。

'Behind THE COVE' Opens Truthful Discussion on Science and Politics of Whaling | JAPAN Forward
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私の作品では、日本人が古くからクジラとともに暮らし、鯨食文化を育んできた背景や、江戸時代に鎖国を解いた米国のペリー来航が実は、捕鯨のためだったという歴史的事実も紹介している。

 一部の国は鯨類を軍用に用いており、このことをまったく知らなかったという率直な感想もあった。
また、オーストラリアでは英雄扱いのシー・シェパードだが、ポール・ワトソンが国際指名手配されていることなども知らない人が多く、映画を観て『ワトソンは犯罪者だったんだ!』と驚いた人もいた。

【名だたる国際会議の中身】
世界には、実際の鯨の資源量を知らず、鯨がいま絶滅に瀕している、という誤った情報を盲目的に信じている人たちが多いのである。科学者の研究から、世界の海洋を回遊する鯨は全人類が食べる魚の約3〜5倍をも消費し、ハクジラ類の生態の胃の中を調べると大量の魚が含まれていることがわかっている。自分自身が映画を制作するまで知らなかったこの鯨の生態にまつわる情報が、今度は、私の映画がきっかけとなり、初めて知る方々いる。
西洋人の素晴らしいところは、反対側の意見も聞こうとしてくれることだ。一方で、多くの日本人は意見の違う人々との論争は、軋轢が高まるだけだとして、避けようとしてはいないだろうか。反捕鯨の方々でも正しい情報を知れば、考え方を変える人もいる。勿論、まったく聞き耳を持とうとしない強硬な反捕鯨家もいる。それはそれで仕方がないことで、まずは違う側の意見を知ってもらう事が必要なのだ。
国際捕鯨委員会(IWC)は1980年代から、捕鯨国と反捕鯨国の思惑がからみあい、政治的な動きに支配されるようになったとの指摘がある。
反捕鯨国は、捕鯨をしたことのない小国をIWCのメンバーにと引き入れ、反対票を急増させている。しかも、IWCへの参加費用も、潤沢な資金を持つ反捕鯨家が負担しているという情報がある。もし、これが事実なら、なぜこんなことが可能になるのだろうか?
モラトリアムが制定されて以来、世界の海洋には鯨の資源量が回復しているという研究データがあるにもかかわらず、日本は、資源的には問題ないはずの商業捕鯨を再開できないままでいる。IWCのルールで、メンバーの四分の三の支持票を確保しなければならないからだ。
その一方で、現在の調査捕鯨が、ニセ商業捕鯨であるという批判には、なるべくして起きたことで、私には、これは否定できないのではないかとの思いもある。IWCで採決された商業捕鯨モラトリアムは鯨の頭数が回復しているかどうかではなく、反捕鯨国の意向によって維持されている。日本は堂々と科学的見地に基づき、商業捕鯨再開を主張すべきだ。そもそも、モラトリアムが制定される過程において、科学者の1人も商業捕鯨に反対意見する人がいなかったと当時の交渉関係者は証言している。
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」のワシントン条約も1980年代にIWCのモラトリアムをそのまま持ち込む形で参加国の多数決により、その商業取引を制限された経緯がある。同条約に関する国際会議では、今、現在も科学を無視した不毛な議論が長年続けられていると聞く。また、ワシントン条約の事務局長を務めたことがあるカナダ人のユージン・ラポワント氏が、「尊厳ある国際条約機構であるべきCITES(ワシントン条約)が、民間団体や一握りの米国政府の官僚に脅迫されることなどを自分で実際に見聞し、身をもって体験した」と自身の本の中で暴露している。こうした実態を一般市民が知る機会が殆どないのだ。
2020年に開催される東京五輪では、反捕鯨活動家たちが各国にボイコットを呼びかけている。私は逆に世界中から訪れる観戦者に対し、日本の食文化の一部である鯨食を紹介すれば良いと思っている。日本食は世界でも人気だが、鯨食に関心を抱いている方々に味わってもらえる格好の機会かと思う。
私の元には、海外各地で、『ビハインド・ザ・コーヴ』の上映会を開催してほしいという声が寄せられるようになった。私自身、ほぼ独力でこの映画を広める活動を行っているので、できることは限られている。出来れば、各国の日本人会や反捕鯨家が主体となって上映の機会を作ってくだされば、現地へ足を運び意見交換をしたいとも考えている。
映画を通じて、捕鯨問題の本質や現実を世界中の方々に知ってもらいたいというのが私の切なる願いだ。

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